5にん 22

4 ページ17

風磨side

兄貴と毎日夜話してた。土曜日に絶対聞き出すって言ってた。だから、金曜日の夜、勝利から帰ってきてって電話されて帰って、聡の部屋見て胸騒ぎがした。

兄貴の部屋勢いで入ったら、引き出しがほんの少し開いてて、開けたら紙が入ってたから。ありがとうってなんだよ。何する気なんだよっ！

慌てて探しに出たけど、見つかんなかった。でも、もうほんとに涙が出てきた頃、兄貴から見つかったってLINEが来た。すぐ帰ってきてって。

「ただいま！」
「おかえりっ…風磨くんっ」
勝利が目に涙いっぱい溜めて出迎えてくれて、思わず抱きしめた。

「勝利、不安だったな。ごめん。聡は？」
「健人くんと部屋っ…マリは寝かせたっ…怖かったっ」
「はぁっ…よかった。ごめんな」
「健人くんにっ、怒られたっ」
「なんで？」

そっと頭離して顔見たら、うっすら頬が赤い気がする。
「聡のことちゃんと見とけって…怒られたっ」
「…兄貴もな、焦ってたんだ。でもそれは良くないよな。こめんな。後でちゃんと話させるから。な？」
気持ちはわかるよ。あんだけ異変しかない聡の部屋とか見て、一緒に家にいたならなんとかできただろって。

でもそれは違うと俺は思うな。勝利が行ってきていいよって言ってくれたから、離して兄貴の部屋行ってみる。
ガチャ
「聡…」
「ひぐっ！ひっくうう！ごぇんっ、なざいっ」

「変なことしようとすんな。聡。死にたいなら俺が殺してやる。だからそんなこと選ぶな」
「ひっ！うっ…ごべっなざっい」
「風磨、今から話聞くからここいて」

兄貴に言われて、ベッド座って聡の頬撫でる。くっきり手形ついてる。勝利と比になんないくらい全力でいかれたな。

「聡、まずは話して？なんでそんな行動取ったのか」
「ひっ！うぇっ！ぐずっ」
めちゃくちゃ涙で濡れた顔なのに、ずっと嫌々して首横に振る。

「許さないよ。言いなさい」
「聡？月曜日から何があったの。学校で」
兄貴、先生に昨日電話してんだよ。何も特にないと思うって言われたらしい。

「いじめられた？」
「ひっ…ぐずっ」
「そっか」
それから、聡がゆっくり話してくれた。聞きたくなかったけど、兄貴と2人涙我慢しながら聡がされたこと聞いてた。

典型的ないじめばっかり…。たった1週間だけど地獄のように長かったたろうな。兄貴の腕の中で肩震わせて泣く聡を2人で静かにさするしかなかった。

「聡、大好きだよ。誰がお前のことなんて言っても、俺も風磨も勝利もマリも、聡のことが大好きだよ」

5→←3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す